一日の終わり。サトウキビ畑での仕事を終えて家路につく。(シャン州 2006年)
一日の終わり。サトウキビ畑での仕事を終えて家路につく。(シャン州 2006年)

軍事政権下では、外国人の国内移動は厳しく制限されていたと聞く。宇田さんは、どのようにビルマ全土、7州7管区をくまなく回り、農村地帯や山岳地帯の営みを写真に収めてきたのか。

「軍政下では、外国人は基本的に観光地や大都市しか訪れることが出来ませんでした。それ以外の場所に足を運ぶには、地元の人の協力が必要です。何年も通って懇意になり、信頼を得てようやく、そうしたことを頼むことが出来ます。

取材の足としてオートバイを利用することもありました。町でバイクを借り、近隣の村落へ撮影に行くんです。外国人がバイクで移動しているとは向こうも思わないから、チェックポイントもたいてい素通りです。捕まるとしたら、村での取材の帰り、村の誰かの密告によってです。

これまで3回捕まりましたが、いずれも問題なく釈放されました。何も法律を犯していないからです。免許証はもちろん持っています。私の外国人登録証には、職業欄にフォトグラファーと書かれていますから、村で写真を撮ること自体、うしろめたいことはありません。『写真を撮るなというのなら、写真家の自分に外国人登録証を発行したイミグレーションの責任だ。ヤンゴンに戻ってイミグレーションに報告する』と言えば、向こうは引き下がります。警察とイミグレーションはそれほど恐れる必要はありません。怖いのは軍に捕まることで、これだけは避けなければなりません」
(続く)
写真集「Peoples in the Winds of Change 1993‐2012」(邦題・ビルマ 変化の中に生きる人びと)は、日本では株式会社 高文研から発売されました。
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