週末で賑わうきらびやかな街で、足を止めた。
作業着にヘルメットをかぶった男たちを見つけたからだ。
富裕層や外国人が集まるこのエリアでは、
お世辞にも清潔とはいえない北京の街の大部分とは異なり、
ブランド店などが入ったガラス張りの建物が、ぴかぴかに光っている。
その建物を磨いているのが、命綱一本の男たちであった。
他の国でならば、「他人が休んでいる時に働いて、ご苦労様だなあ」程度にしか、気にしない光景かもしれない。
しかし、収入、教育、都市と農村... とあらゆる側面での格差が、じわじわと堆積しているこの国では、ねぎらいよりも切なさを覚えた。
壁にぶら下がっている男たちが
自分の磨いているガラス越しに見ているのは、
自分たちにはほとんど縁の無いであろう世界だからである。
(宮崎紀秀)