ヒンドゥスタン・タイム紙ほか現地の複数メディアによると18日、インド側支配地域カシミール、ジャンムー・カシミール(J&K)州ランバン郡で、国境警備隊(BSF)の発砲により、住民6人が死亡、少なくとも30人以上が負傷した。
J&K州は人口の8割以上をイスラム教徒が占める。今月9日から断食月に入り、夜間の礼拝の参列者が増えたことでBSFと揉め事となり、BSFが宗教指導者を暴行したという。
別の情報として、BSFの兵士がモスクに入り、中にいた若者をゲリラと疑い暴行したという。いずれにせよ、BSFの兵士がモスクに土足で入り込んで暴行を働き、コーランを破ったことが、原因だといわれる。
翌朝、抗議のために、数千の住民がBSFの駐屯地を取り囲んだ際、BSF側が発砲した。目撃者によると、事件の対応にあたっていたランバン郡の行政長官が発砲を促したという。行政長官は、即日更迭された。
一方、BSF側の発表では、住民の男性一人を職務質問したことがきっかけで、口論がはじまり、男性はモスクのスピーカーで「コーランが破られた」と人びとを扇動、事件に発展したという。
さらに、駐屯地を取り囲んだ人びとが武器を奪おうとしたので自衛のために発砲した、と正当化している。
事件に対し、インドからの分離独立の運動を主導するカシミールの政治諸団体は、19日より3日間のストライキを住民たちに指示した。抵抗運動の拡大を恐れたJ&K州政府は、ランバン郡の行政長官を更迭するとともに、インターネット、携帯電話のSMS、インターネットサービスの停止の措置をとった。
分離独立派の指導者の逮捕も相次いでいる。州政府はストライキに対し外出禁止令を施行する模様。
カシミールでは3週間前に2人の若者が治安部隊に射殺される事件が起きたばかりで、インド政府のシンド内務大臣は今回の事件の調査を命じている。
【廣瀬和司】