◆故金正日総書記の肝いり事業 娯楽施設建設に方針転換か
(本誌特約=「デイリーNK」リ・サンリョン記者)
北朝鮮の故金正日総書記が、2012年の「強盛国家」実現の目玉として精力的に推進した「平壌10万世帯建設事業」が、金正恩体制発足後に全面中断となった。一部地域の家屋は見るも無残な姿になっているという。北朝鮮内部への取材で分かった。
平壌市に住む取材協力者は1日、デイリーNKとの通話で
「金正恩の執権後、『10万戸建設事業』が全面中断された。平壌外郭地域の一般家屋は同事業のために、2009年10月には全て撤去されたが、新たに建設 に取り掛かっていた建物は1階も出来ていないものが多い。(追い出された)一般家庭は工事中断により中途半端な状態で放置されている」と伝えた。
この協力者「労働党から『今後は住民が自主的に家屋建設をせよ』との指示が下され、住民もお手上げの状況だ。建設資材などを自前で調達し完工させることが出来ないため、『元帥様(金正恩)が人民を見放している』と不満を口にしている」
と付け加えた。
平壌10万戸建設事業は、2012年までの「強盛国家」建設を目標に2009年から始まった。当初は金正恩氏の業績として宣伝される予定だった。し かし事業開始段階から資材不足と電力不足により建設に支障が発生、結局中断となった。一部地域ではずさん工事などで崩壊及び墜落事故が発生し、動員された 労働者が犠牲になることも多くあったという。
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