私が北朝鮮を出たのが18歳の頃だったので、その前は学生恋愛といっても、食堂もそんなにないし、飲食店もないし、喫茶店もないから、デートする場所がないんです。親にバレると家へ帰ってからひどい目に遭うから、ほとんど忍者みたいに、友達がみな見張ってくれて、人気のないところで会うとか。友達の家でお父さん、お母さんがみんな出勤したら、みんなで集まって話をしたりとか。それが精一杯って感じでした。手を握るだけで、何か罪を犯しているような(笑)。

:ラブレター書くことなんて・・・、
ハナ:なかったです。

:そうか、私のようにラブレター出したのに返してくれない、なんて文句言っちゃいけないわけね(笑)。
ハナ:そういう文化はなかったですね。でもそんな中でも、みんな好きな気持ちはあったりするから...、親の目を盗んで、先生の目を盗んでなんとかしていました。

:家に帰ってドキドキしながら...。 写真を撮ったりすることはなかったの?
ハナ:なかったです。もちろんデジカメもなかったですし、写真って、写真館に行かないと撮れないんですね。もし2人で写真館へ行ったら、大人たちから、「この子たちは何ていうことを!」、「親は何をしているんだ!」、「どんな育て方をしてきたんだ!」って言われますよ(笑)。だから2人で写真館へ行くこともできず...。だから写真というのは、卒業写真ぐらいしかなかったです。(つづく)

<<リ・ハナ 北朝鮮青春対談2へ │ リ・ハナ 北朝鮮青春対談4へ>>
----------------------------------------------------------------------
辛淑玉(シン・スゴ):東京都生まれの在日コリアン3世。人材育成コンサルタント会社代表。マイノリティやフェミニストの立場からの人権問題についての著作や発言多数。東日本大震災後、宮城県や福島県などの避難所を取材、女性や災害弱者の視点で感じた経験を、講演などを通して伝えている。

リ・ハナ:北朝鮮・新義州市生まれ。両親は日本からの「帰国事業」で北朝鮮に渡った在日朝鮮人2世。中国に脱出後、2005年日本に。働きながら、高校卒業程度認定試験(旧大検)に合格し、2009年、関西学院大学に入学、2013年春、卒業。現在関西で働く。今年1月刊行の手記「日本に生きる北朝鮮人 リ・ハナの一歩一歩」は多くのメデイアに取り上げられた。

■ 日本初の脱北女子大生 3月卒業へ
■ <脱北者に聞く北朝鮮>リ・ハナさんインタビュー(全7回)
■ 【2013年1月刊・書籍】日本に生きる北朝鮮人 リ・ハナの一歩一歩 (リ・ハナ著)

★新着記事