北朝鮮に生まれ、中国に脱出後、2005年に日本にやってきた「北朝鮮人」リ・ハナさんと、東京生まれで東京育ち、朝鮮学校に通ったこともある在日コリアン3世の辛淑玉(シン・スゴ)さん。生まれも育ちも違う2人には意外な共通点が...。北朝鮮の青春、友情、恋愛、夢とは。(整理 アジアプレスネットワーク編集部)
◆韓国語と北朝鮮語の違いって?
辛:韓国語を使うときに気をつけたことある?北朝鮮で使っている言葉とか、韓国で使っているのと単語が違うじゃない?
ハナ:中国にいた頃に、衛星放送で韓国のテレビを見る機会があった時、すごいショックを受けました。言葉が全然違うので...。なんでこんなに外来語が多いのかなって。なんかついていけなくて。
あと、なんでこんなに話すのが速いのだろうと思いました。テレビを見ながら、ある程度、自分の話し方を韓国語に近づけようと思ったんですけど。どうしても、たまに北朝鮮の言葉が出てくるのですね。
今、私、ソウルの友達がいるんですけど、彼女に言葉を指摘されることがあります。たとえば食べる「魚」。朝鮮語ではそれを「ムルコギ」と言って、泳いでいる「魚」も「ムルコギ」と言います。でも「ムルコギ」が食べたいってその友人に言ったら、びっくりされたんです。韓国では「センソン(鮮魚の意)」って言うそうです。北朝鮮に「センソン」っていう言葉がないわけではないのだけど、使い方が違うんですよね。
私は韓国語をしゃべっているつもりでも、たまにそういうことがあって、「ここではそういうのは使わないよ」って指摘されます。最近は韓国語をあまり使わずに生活していますが......。
辛:私もあるわね。韓国に行ったときに、「케이 에프 씨(ケイ・エプ・シー)」って書いてある看板を見つけたの。なんだろう?って、ずっと考えていたわけ。それは「K.F.C」なのね。ケンタッキーフライドチキンだったの。英語をハングルで表記しているのね。他に「저널(ジョノル)」って書かれたものもあった。「ジョノルってどういう韓国語なのだろう?」って一生懸命考えたのだけど、それは「ジャーナル(週刊誌)」のことだったのよ。あれは勉強していてもつらいよね。
ハナ:外来語は本当に難しかったです。テレビでなんでもかんでも「スペシャル」とか、「パレード」とか使うでしょう?韓国のテレビで字幕が出るのを見るとき、ハングルなのだけど、何の意味なのか分らない(笑)。
北朝鮮では英語など、授業以外では使うことはまずなくて、外来語を全部、朝鮮語に直して使っていたから......。今、逆に北朝鮮のテレビで「ストレス」とか「コンピューター」とかそのままで使ったりしているのを見ると、時代が変わったなぁ~って思います。
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