辛:それで入れたっていうのは、なおいい。(編集部注:在日帰国者はかつて昇進や進級で差別された時代があった)
ハナ:帰国者でも、わりとうちの家は地元の人たちと同じようにしていたんです。学校の服装とかも変わらない。だから、たぶん感覚的にはそんなに差がなかった。外見も含めて差がなかったというのもあったのかなぁと。

ワイロとかも、ほとんどしなかったんです。父が一応医者だったんですけど、たまに先生が手紙を書いてきて「これちょっとお父さんに渡して」ってことはあった。それをお父さんに渡すと、お父さんは何も言わないで紙を持って、病院に行って薬をもらってきて「これ先生に渡しな」って言うの。そういうのはありました。先生が自分に必要なものをクラスの教え子の誰かに頼むんですよ。

:アボジ(父)はどこだったの?日本の。
ハナ:長崎です。

:オモニ(母)は?
ハナ:大阪です。

:今、アボジとオモニはどうしているの?
ハナ:もう父は亡くなっています。

:そうだったね...。
(つづく)

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辛淑玉(シン・スゴ):東京都生まれの在日コリアン3世。人材育成コンサルタント会社代表。マイノリティやフェミニストの立場からの人権問題についての著作や発言多数。東日本大震災後、宮城県や福島県などの避難所を取材、女性や災害弱者の視点で感じた経験を、講演などを通して伝えている。
リ・ハナ:北朝鮮・新義州市生まれ。両親は日本からの「帰国事業」で北朝鮮に渡った在日朝鮮人2世。中国に脱出後、2005年日本に。働きながら、高校卒業程度認定試験(旧大検)に合格し、2009年、関西学院大学に入学、2013年春、卒業。現在関西で働く。今年1月刊行の手記「日本に生きる北朝鮮人 リ・ハナの一歩一歩」は多くのメデイアに取り上げられた。

■ 日本初の脱北女子大生 3月卒業へ
■ <脱北者に聞く北朝鮮>リ・ハナさんインタビュー(全7回)
■ 【2013年1月刊・書籍】日本に生きる北朝鮮人 リ・ハナの一歩一歩 (リ・ハナ著)

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