◆的中した保護者の「不安」
保護者の「不安」は的中する。
「最初の説明会では作業レベル1に区分される吹き付けアスベストがあることは認めたが、レベル2のアスベスト含有保温材などや レベル3のアスベスト含有成形板などは『まったくない』といった。ところが、次の説明会でじつはレベル2と3もありましたとなった。それで終わりですかとなったら、今度はレベル1の吹き付けアスベストが見つかった。解体業者の説明が二転三転しました」とNPO「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」事務局長の永倉冬史氏が話す。

そうした事実が判明するのも、保護者らが必死に活動したからだった。
「守る会」の櫻井さんらは、説明会から着工までわずか10日しかなかったことから、アスベストセンターの永倉氏に連絡して、説明会に参加してもらった。

解体予定の建物はコンサートホールやホテルが入った本館と、料理学校などが入った学園棟の2つあった。解体工事を請け負った阪本工営 (大阪府堺市)は、当初本館に作業レベル1の吹き付けアスベストがあることは認めたが、それ以外のレベル2のアスベスト含有保温材などやレベル3のアスベスト含有成形板などは「一切ない」とした。

ボイラー室がある建物であれば、ボイラー配管のエルボー部分にはまず間違いなくレベル2の保温材が使用されているし、レベル3の成形板も内装材に多用されており、耐火性が重要なホテルやコンサートホールを有する施設に使用しないことなどおよそ考えられない。それで永倉氏は「アスベストの事前調査が不十分なのではないか」と指摘した。

提示された資料も少なく、説明も不十分と感じた保護者らは、再度の説明を求めるとともに、解体工事の協定を結ぶことを要望する。

5月15日に開 かれた2回目の説明会で解体業者は、社内の連絡ミスにより学園棟にあるレベル3のアスベスト含有成形板について前回説明しなかったことを釈明。レベル2の配管エルボー(アスベストを含まない部位を切断することで作業としてはレベル3扱い)やレベル3の天井などのケイ酸カルシウム板などの存在を認めた。それどころか、実際にはレベル1の吹き付けアスベストも新たに見つかったという。

当初の説明とはまったく食い違う内容に強い不信感を持ったのは当然だろう。保護者らは「子どもの安全確保についての説明と、解体工事協定が結ばれるまで工事はしないで欲しい」と要望。解体業者は「(区の)保育課と話をして進めていく」と回答した。
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