◇「もちろん外海へ出ている。責任取るべき」
2020年のオリンピック開催地が東京に決まった8日の国際オリンピック委員会(IOC)の総会で、安倍晋三首相が「汚染水による影響が福島第1原発の港湾内0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」と述べたことについて、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は科学的に見て「嘘である」と断言。五輪招致のプレゼンテーションの場で安倍首相の「虚言」は国際社会から批判を浴びそうだ。(ラジオフォーラム)
福島第1原子力発電所前の港湾内では、汚染水が外海に漏れないよう遮断するための作業が行われているようだが、完全にブロックすることは果たして可能なのか。
「スクリーンというものを下ろしていますが、海というものは満ち引きもあれば波もあり、海流もあるので、そんなスクリーンで留めることが出来るはずがない。海水は港湾内と港湾外を出入りし、汚染水はもちろん海へ流れ出ています。完全にブロックされているというのは嘘です」
小出助教はこう断言する。
さらに、安倍首相はIOC委員の質問に対し、
「健康問題については、今までも現在も将来も全く問題ないということをお約束いたします。抜本解決に向けたプログラムを私が責任をもって決定し、すでに着手しています」と述べた。このことについて小出助教は、「ひたすら呆れる」として、安倍発言を次のように批判した。
「こんな軽々しい発言をする人を一国の首長に持っていることを、私自身は大変恥ずかしく思います。福島第1原子力発電所は自民党政権が安全性を確認し、認可した発電所なのであって、自民党政権のトップにいる安倍さんがまず謝罪して責任を取ることが本当は必要なことだと私は思います。2年半経っても事故そのものを収束できなかったということが事実として目の前にあるのです」
安倍首相が決定し、すでに着手しているという「抜本解決に向けたプログラム」。その決意に満ちた言葉は、アルゼンチンでIOC委員会に向けてではなく、まず福島で、そこに住む人たちに向けて発せられるべきではなかったのか。
安倍首相の発言に対する小出裕章助教へのインタビューは、9月14日の「ラジオフォーラム」で放送される。
「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ