「私は招募担当の将校2人に日本円で2万円ずつ渡して、息子を×× 道の『教導連隊』に入れた。『教導連隊』は、一般人に軍事教練する所で、民間人との接触も多く、賄賂も入ってくるし陰で商売もできる。ずっと重労働させら れる建設部隊なんかとは比べ物にならないぐらい楽だ。
他に待遇がいい組織は軍直属の体育団や、軍楽隊などの芸能組織、宣伝隊、通信部隊だ。中国国境の国境 警備隊も、密輸屋や脱北ブローカーから賄賂が入って実入りがよく、栄養失調になることはあまりない」
と、彼は説明する。
編集部が取材した両江道出身の30代のある男性は、2000年代初めにやはり親が賄賂を使って西海岸の港の部隊に配置された。北朝鮮では港への人の出入りを軍(多くは国境警備隊)が警備・検問している。
出入りにはその都度証明書が必要だ。漁船や貿易船、貨物船などが出入りするため、商売で港に出入り したい者は、この検問を担当する兵士に賄賂を渡して便宜を図ってもらう。
「私は部隊でずっと白米を食べていたし、貯めた賄賂や住民たちからの軍への支援品で焼肉もよくやった。商売人たちはやはり利害のある所の部隊を支援しようとするから」
と、この男性は語る。しかも彼は、実家がまた賄賂を使って、一年ほどで除隊して大学に進学していた。
このように、一般住民を統制する権限のある部隊に配属されると、賄賂が期待できるため食事に困ることは少ない。もちろん、もともと特別待遇される部 隊もある。金正日一家=ロイヤルファミリーおよび高級幹部を警護する護衛総局や空軍、特殊部隊などだ(だが、かつて優遇されていた空軍や護衛総局の兵士に も、近年食糧問題が生じている)。[続く]
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