国会議員の多数が国連でのロウハニ大統領の措置に感謝を表明した。写真はこのニュースを報じるイラン国会公式HPの記事。「国会議員230名、国連での大統領の立場を擁護する声明」

イランのロウハニ大統領がニューヨークでの国連総会に出席後、アメリカのオバマ大統領と電話会談を行った問題で、イラン国内では賛成派が反対派を押さえ込みつつあるようだ。

イランに帰国したロウハニ大統領を多くの市民が盛大に出迎えた一方、仇敵アメリカとの関係改善に嫌悪を表す一部の市民が同大統領に靴が投げつける事件も発生した。保守系メディアの中にも、今回のアメリカとの直接交渉に批判的な論調がここ数日見られる。

こうした世論を受けて、大統領のニューヨーク訪問に随行したスィアーマク・マッレセドク議員は、ロウハニ大統領とオバマ大統領の電話会談は最高指導者ハーメネイー師の合意なくしてはありえなかったと語った。

イラン国営通信が2日に伝えたところでは、マッレセドク議員は記者の質問に答え、「ロウハニ大統領は国連演説の中で国内の意見が統一されていることを強調しており、これは国家の責任者らがアメリカとの電話会談にも合意していたことを意味する」と語った。また、ロウハニ大統領が電話をかける以前に、オバマ大統領から2度に渡って首脳会談を求める申し出があったことを明らかにした。

一方、イラン国会も1日、230名の議員の名で、ロウハニ大統領の国連での措置に感謝を示す声明を発表した。この声明では、国連総会におけるロウハニ大統領の演説が、賢明かつ毅然とした立場の表明であったこと。

また、イスラム革命の価値と理想に忠実でありながら、イランが平和と話し合いを求める友好的かつ強力な国家であると世界に印象付けたことが挙げられている。オバマ大統領との電話会談については直接触れられていない。

保守系議員が大勢を占める現イラン国会が、新内閣による対米交渉路線を評価したこの声明。果たして最高指導者の意向が汲まれたものなのかは不明だが、いずれにせよ、国内の強硬な反米路線を牽制するねらいがあると見られる。しかし、イラン国会の定員は290人。およそ5分の1にあたる60人の議員が声明に加わらなかったことは、この国の世論も政界も決して一枚岩ではないことを物語っている。
【大村一朗】

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