◆最初に確認すべきこととは

そうした事故を防ぐには、まずアスベストを含有する建材がどこにあるのかを適切に把握することが必要となる。つまり事業者による事前調査の徹底が重要となる。

その重要性は法にも反映されている。前掲の図に示された事前準備から事後処理までの工事の流れをみていただきたい。事前調査は石綿則および建設リサイクル法で義務づけされている。すでに述べたとおり、今年6月の大気汚染防止法改正でも義務づけられ、ちかく施行の見通しだ。

それほど重要視されていながらアスベストが飛散する事故が相次いでいるのは、以前にも指摘したが、アスベスト除去業者の能力の低さに加えて、工事単価の下 落による手抜きの横行、そうした状況を許してしまう行政による監視・指導の甘さによる。そのため業者や行政まかせにせず、市民による監視が必要となる。

ではどのような対処が必要なのだろうか。まず近所の建物が解体されるが、どうもアスベストがあるらしいといった話を知ったところから始めよう。

まずとるべき行動はその情報の事実確認である。気心の知れた友人から聞いたのであれば、具体的な内容を確かめてほしい。以下に箇条書きで確認するポイントを示す。

●建物の基本情報と種類(住所、所有者、建物の構造:鉄筋・鉄骨・木造、何階建てなのか)
●どこにどのようなアスベストがあるのか(鉄骨に吹き付けがある、あるいはスレートなどのアスベスト含有成形板なのかなど)
●その建物にアスベストがあると知った理由(たまたま通ったら掲示があった、その建物に住んでいる知人から聞いたなど)
●その建物でおこなわれる工事の内容(改築・解体・アスベスト除去など)
●工事の始まる時期と工期

もし解体工事などがあるという建物が自分の住んでいるところだったり、知人が住んでいたりでみせてもらうことができるようなら、実際にアスベストだという 建材の写真を撮るとよい。その場合、可能なら近寄って撮影したり、少し距離を置いたりといくつかの種類を何枚か撮影することが望ましい。

工事の掲示があれば、必ず確認することが重要だ。念のため、これもひと通り撮影するとよい。また知人が住んでいるなどして、工事を説明する資料などが配付されていたらそのコピーを入手できるとなおよいだろう。
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