石丸:電気や水の供給がなければ、平壌といえども、住民たちは大変な不便をしていることでしょう。
ハン:北朝鮮では今、ほとんど大半の建物で上下水道が使えなくなってしまったと言っても過言ではありません。水道管はさびついてしまって穴があいていいます。そのため、祝日などに特別に水の供給があったりすると、四方八方に水が飛び散る有様です。
私が平壌でアパートに住んでいた時、我が家だけ別にポンプを設置したのですが、その工事の際に既存の水道管を触ったところ、ポロポロと壊れてしまい ましたよ。水道管だけではありません。ポンプを動かす電気がそもそもありません。日本に来て何よりいいのが、電気と水を思う存分使えることです。北朝鮮で はどの家にも水を貯めるための器が山ほどあります。たまに水供給があるときに貯めておくためです。
平壌の上下水道システムの多くは、日本の植民地時代に建設されたものをそのまま使用しています。しかし、いくら立派に作られたものだとしても、今で は老朽化してしまっています。平城(ピョンソン)などでは、アパートを建てるとき、水道管を設置する部分を空けておくそうです。居住者が自分たちでポンプ を設置して、井戸を掘るなどして水を引っ張りあげなければならい有様なんです。(つづく)
編注1:平壌市中区域の万寿台地区に建設されたニュータウン。40階にも及ぶ高層アパート郡が突貫工事で12年春に完工した。「金正恩氏による再開発計画で一新された平壌」という実積作りの一環であった。この地域には優先的に電気が供給されているという。
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