そのほかのアスベスト建材については、規制は遅かった。2004年10月、アスベストを重量比1%を超えて含有する以下の10製品について、製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止された。
(1)石綿セメント円筒
(2)押出成形セメント板
(3)住宅屋根用化粧スレート
(4)繊維強化セメント板
(5)窯業系サイディング
(6)クラッチフェーシング
(7)クラッチライニング
(8)ブレーキパッド
(9)ブレーキライニング
(10)接着剤
その翌年の2005年6月末に兵庫県尼崎市の旧クボタ工場周辺で近隣住民に中皮腫被害が発覚する「クボタショック」が起こった。その結果、労働安全 衛生法施行令が再び改正され、2006年9月にアスベストを重量比0.1%を超えて含有するすべてのものについて製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止さ れ、アスベストの使用などは「原則禁止」となった。一部工業用途のガスケットやパッキンについては例外とされたが、建材は例外とされておらず、建材におけ るアスベストの使用などはこの時点で禁止となった。なお、一部例外とされた品目についても含めて、すべてのアスベストの使用などが2012年3月に「全面 禁止」された。
◆建築物はアスベストだらけ!
こうしたアスベスト建材はどれほどあり、どこに使われているのか。
2005年10月、環境省が開催した「建築物の解体等における石綿飛散防止検討会」で当初委員のみに配られた「石綿含有建築材料の使用実態」という資料に以下のような表がある。
この表はアスベスト含有建材が建物のどのような場所に使われているかを示したものだ。たとえば内壁・天井の項目には、スレートボード、けい酸カルシウム板、パーライト板、スラグせっこう板、パルプセメント板、せっこうボードの6種類のアスベスト建材が列記されている。
使用部位を整理しながら見ていくと、屋根、骨組み(鉄骨の耐火被覆)、外壁、内壁、天井、床、軒天(ひさし)と、建物を構成する基本的な部位にはすべてアスベストが使用されている可能性があることがわかる。
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