◆ 戦争システムの頂点NSC
要するに、国家安全保障会議での究極的な局面とは、流血と大勢の死をもたらす戦争の決断にほかならない。ブッシュ大統領は明言した通り、「テロとの戦い」を宣言し、アルカイダとタリバーンへの報復攻撃に踏み切り、アフガニスタンを空爆、地上軍を派兵した。
おびただしいアフガニスタン人の血が流され、子どもから大人まで多くの命が奪われた。同様のことは、2003年のイラク戦争の際にも繰り返された。
ホワイトハウスの密室、国家安全保障会議に集うひと握りの権力者たちの手に、巨大な軍事力行使のパワーが与えられ、それが遠い他国の無辜の人びとに流血を強いて、大勢の死をもたらすのである。
そのパワーは常に「正義、平和、自由、民主主義」といった衣をまとい、独善的に戦争を正当化し、「誤爆、やむをえない犠牲」などの言い逃れも駆使して、戦禍の現実を覆い隠そうとする。
こうした米国の戦争システムの頂点NSCをモデルにして、いま安倍政権は日本版NSCの設置にひた走っている。首相官邸に外交・防衛政策の司令塔すなわち外交・軍事のトップダウンの決定機能を集中させ、ホワイトハウスのNSCとリンクさせて情報・戦略の迅速な共有化を図ろうとしている。
しかも、強引な解釈改憲により集団的自衛権を行使できるようにするというのだ。米国に追随してばかりの日本政府の実態からして、仮に米国主導の多国籍軍型の武力行使が地球のどこかで始まることになったら、英国が集団的自衛権の名のもとアフガニスタン攻撃やイラク戦争に参戦したように、日本も派兵することになるだろう。
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