編集部:村の女性たちは今、原発事故をどんな思いで見ているのでしょうか?
古居:国の線量の基準がたびたび変わり、村人たちの不安は一向に解消されません。放射能は目に見えず、美しい村の景色は何も変わらない。ところが原発事故で、そこに暮らしてきた人は、これまで住み慣れた家を離れることを余儀なくされました。牛を処分しなければならなかった村人たちの思いを考えると胸が痛みます。
自給自足のような暮らしをしてきた人たちにとって、それまでの生活を変えることを強いられるということは、私たちが想像する以上につらいことなのです。いつになったら村へ戻れるのか。先が見えない状況に、彼女たちの心労は高まるばかりです。
◆伝えたい~取材映像をドキュメンタリー映画に
原発被災者の現状を伝えるニュースが減り、関心も薄れている、と古居監督は感じている。問題が何も解決されていないことを、映像を通して知ってほしいと、話す。映像取材はいまも続けられ、ドキュメンタリー映画として完成させることを目指している。
◆古居みずえプロフィール
島根県出身。1988 年よりパレスチナの人びと、とくに女性や子どもたちに焦点をあて、取材活動を続けてきた。2006年『ガーダ −パレスチナの詩−』、2011年「ぼくたちは見た ― ガザ・サムニ家の子どもたち ―」を監督した。 2005年DAYSJAPAN審査員特別賞受賞石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞・公共奉仕部門大賞受賞
1 2