--平壌の芸能人銃殺については聞いたか?
「芸能人25人が『淫乱ビデオ』を作って中国に売ったとかどで銃殺になったと、知り合いの保安員(警察官)たちから聞いた」(後日、銃殺されたのは10数人と、彼は情報を修正した)
--咸鏡北道の状況はどうか?
「(摘発に関係した)保安員たちが言うには、セッピョル郡の○○地区では、40世帯がテレビと録画機(再生機)を没収された。ある家では『妓生の一日』という『淫乱ビデオ』を見ていたとして、一家全員が縛られて連れて行かれたそうだ」
--取締りは保安員が担当しているのか?
「金正恩の<817方針>が出て、会寧(フェリョン)市には28日に平壌から保衛部27局の連中が検閲に加わっている。保安員たちと昼 夜関係なくあちこちの家を捜索してUSBメモリーを調べている。なんでも、敵(韓国)が1万個のUSBメモリーを密かに我が国に浸透させたというではない か」
保衛部27局というのは、秘密警察組織内の盗聴や電波探知、デジタル機器の調査を担う部署である。猥褻物の取締りであれば、それは風紀の問題であるのたが、政治問題を扱う保衛部が前面に出てきていたようである。
さらにB氏は、平壌の芸能人銃殺事件に関して、
「平壌の芸能人たちがやられたのは、性交場面などを自ら撮影したおぞましい映像がUSBメモリーに入れられており、(撮影・流出の事実が)ばれたからだそうだ。外国に流出したものを、敵(韓国)が入れたのだそうだ」
と、まことしやかに語られている噂話を付け加えた。自作の猥褻ビデオが外国から入ってきてばれたというのは、いかにも不自然な噂である。
協力者B氏は、保安員が語ったという<817方針>なるものの具体的な文面をまだ掴めていない。北朝鮮における<方針>と は金正恩氏直々の指令のことを意味する。<817方針>が実際に下されたのが事実であるとすれば、それは最高度の政治性を持つ。保衛部も保安 部も最優先で執行する課題になる。そう考えると、「淫乱ビデオ」の取締りのためだけに、わざわざ<方針>が出されるとは思えない。
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