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人民武力部(国防省に相当)が運営する4.25文化会館の補修工事には軍の建設部隊が動員されていた。兵士たちは一様に痩せていて元気がない。腹が減って力が入らないように見える。
人民武力部(国防省に相当)が運営する4.25文化会館の補修工事には軍の建設部隊が動員されていた。兵士たちは一様に痩せていて元気がない。腹が減って力が入らないように見える。
《参考写真》官営メディアに掲載された「イルカショー施設」の建設現場の写真。作業しているのは軍人たちだ。ク記者が撮影してきた工事現場とは、かなり様子が違うように見える。(11年11月掲載 わが民族同士HPより)
《参考写真》官営メディアに掲載された「イルカショー施設」の建設現場の写真。作業しているのは軍人たちだ。ク記者が撮影してきた工事現場とは、かなり様子が違うように見える。(11年11月掲載 わが民族同士HPより)

 

◆無理な再開発の「副作用」の恐れ
突貫工事の不便なアパートであっても、住宅難に悩まされている一般庶民に部屋が供給されれば良いが、現実は不公平極まりないようだ。
「部屋をもらえるのはまず幹部。それから金正日の接見者などの『模範労働者』、革命遺家族、朝鮮戦争参加者の子孫などだ。だから大多数の平壌市民は、夢にも自分に住宅がもらえるなんて思わないから、『強盛国家』にもアパート建設にも関心なんてない」。

ク・グァンホ記者はそう言う。付言すると、建て直しの場合は、元のアパートの住民には無償で部屋が与えられるという。

今回の10万戸アパート建設などの平壌再開発プロジェクトは、故金正日総書記が出した《方針》であるため、国家的最優先課題となって進められている。したがって、建設資材や、ブルドーザー、クレーン、ダンプ、コンクリートミキサーなどの機材の調達と投入も最優先に行われ、乏しい外貨も集中的に投下されることになる。

すると、本来急を要する地方の道路や橋、学校など公共施設の補修改修や住宅建設などは、すっかり後回しにされるという事態が発生せざるを得ない。さらに現在、首都建設を理由に、地方都市や農村では食糧を徴発されたり、現金の寄付を求められたりということが、北朝鮮内部から編集部に報告さ れている。

経済が疲弊しきった現在の北朝鮮で、この度のような大事業を進めるのは大変な無理があることは自明だ。事業規模が大きい分、今後激しい副作用が各地で発生することになるだろう。

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市内の歩道の補修工事もあちこちで見られる。古い敷石ブロックの取り替え作業。引き剥がした古いブロックなどの瓦礫を片付けている。作業しているのは、人民班で動員された周囲のアパートに住む住民たちだ。
市内の歩道の補修工事もあちこちで見られる。古い敷石ブロックの取り替え作業。引き剥がした古いブロックなどの瓦礫を片付けている。作業しているのは、人民班で動員された周囲のアパートに住む住民たちだ。
新しい歩道用ブロックを敷きつめているところ。どうしても素人の作業ではガタガタになるという。
新しい歩道用ブロックを敷きつめているところ。どうしても素人の作業ではガタガタになるという。

 

<金正恩氏のための平壌再開発> 記事一覧

 本記事は2012年3月「北朝鮮内部からの通信リムジンガン」6号に掲載した報告に加筆修正したものです。

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