90年代、北朝鮮で何が起こったのか? 
~内部映像が記録した最悪の飢餓~
1990年代後半、北朝鮮民衆を襲った大飢饉は、朝鮮史上最悪のものであることは間違いない。飢えと寒さと病気で命を落とした人の数は 5年間で100万とも300万以上とも言われている。北朝鮮国内ではいったい何が起きていたのか。北朝鮮人自身がひそかにカメラで記録した映像と、北朝鮮・中国国境地帯での証言から、飢餓の実態を報告。

【解説】
世界で初めて北朝鮮大飢饉の実態を映像で暴いたのは、アン・チョルという名の20代の北朝鮮青年だった。石丸次郎が初めてアン・チョルと会ったのは97年7月。両親が餓死し、難民として中国に這うように脱出してきたばかりの頃だった。

石丸と1年余り中国で一緒に暮らした後、アン・チョルはビデオカメラを携えて、再び深夜の豆満江を渡り北朝鮮に入っていった。初めての秘密撮影に挑むためであった。アン・チョルの撮った映像は、世界中に衝撃を与えた。

韓国KBSでは98年末に1時間の特別番組を制作、放映翌日の韓国の主要新聞はこぞって社説で番組を取り上げ、飢餓を放置している北朝鮮当局者の無能を批判した。

映像は英、独、仏、米などの主要テレビネットワークでも、何度も大きく取り上げられた。北朝鮮の飢餓の深刻さを、アン・チョルの映像を通じて知った 人の数は、世界中で数億人に達するだろう。続いて99年には、キム・ホンという青年も、おもに北朝鮮北部地域で秘密撮影を敢行した。深刻な飢餓が北朝鮮全 土に拡がっていることが証明された。

1990年代後半、北朝鮮民衆を襲った大飢饉は、朝鮮史上最悪のものであることは間違いない。飢えと寒さと病気で命を落とした人の数は、5年間で 100万とも300万以上とも言われている。これは、実に人口の5-15%にあたる数字である。この凄惨な飢餓の実情は、アン・チョルとキム・ホンという 2人の勇敢な北朝鮮青年がいたからこそ、歴史に記録されることになった。2人が命懸けで撮影した映像を中心に、未曾有の悲劇の原因を考察する。

撮影:アン・チョル、キム・ホン、石丸次郎
ナレーション:魚住由紀  (本編28:00 制作:2007年) (C) ASIAPRESS

 

動画 (01:22)  (C)ASIAPRESS

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