平壌市内に住むク・グァンホ記者は2011年7月に電話で次のように伝えてきた。
「今年の春ごろまで、アパート建設工事は資材不足や作業員に与える食糧がなくてまったく低調だったが、初夏から工事が本格化しているのは確か。しかし、10万戸なんてとても無理だろう」。
一方、朝鮮中央通信など北朝鮮の官営メディアは「見違える平壌」などの見出しで、高層アパートの他、スケートリンクや大型公衆浴場、イルカショー施設までも立派に建設中などと、頻繁にこの首都整備プロジェクトが、驚くべき早さで順調に進んでいると報じている。
10月に入ってク記者は、豆満江を渡り中国に越境して来た。彼の撮った映像を見て驚いたのは、素人目にも工事が相当出鱈目なことである。
平壌市の中心部のあちこちに20階を超える高層アパートが建てられているのだが、大小のコンクリートブロックを、鉄筋を通しただけで積み木のようにどんど ん重ねていく。鉄骨は見当たらない。早いはずだ。ガラスを入れる窓枠は、大きさも位置も階によってまちまち、ばらばらである。近距離で撮影されたものを見 ると、セメントの塗り方がなんとも雑で壁の表面はでこぼこ。地震多発国の日本ほど厳密な工法は必要ないのだろうが、実際に住む人の不便と崩落などの事故が 心配になってしまう。
(つづく)
※ 本記事は2012年3月「北朝鮮内部からの通信リムジンガン」6号に掲載した報告に加筆修正したものです。
◆ 【YouTube動画 北朝鮮内部】 これが平壌の手抜き工事の現場映像だ 窓枠ガタガタ、プロック手積みの高層アパート
◆ 平壌アパート崩壊は不正など構造的原因
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