◇新たな「ナンバー2」崔龍海氏は自分優先で忠誠を尽くすスタイル

チェ氏はさらに、張成沢氏の失脚に一役買ったとされ、今後「ナンバー2」の地位を張氏から受け継ぐことになると見られる、崔龍海(チェ・リョンヘ、人民軍総政治局長)氏についてこう語った。

「崔龍海は人間的にずうずうしい人物だった。張成沢とは違い、自分とともに活動した人間の世話を焼くことは余りなく、自分優先の人間だった。1980年代末、崔龍海が社労青(社会主義労働青年連盟、強大な権力を持つ機関のひとつ)中央委員会委員長を務めていた時、(地方党の)組織部長だった人物が私を訪ねてきて、崔龍海との面談仲介を頼んできた。機会を設けたが崔龍海は門前払いし、(今後は)彼の話もするなと言うほどだった。

金正日が崔龍海をそばに置いたのは、彼の人間性が良いと言えず、図々しい面もあり、勢力化の可能性が低いと判断したため。自身の身の安全を優先し忠誠を尽くすスタイルが、崔龍海を現在の最高の地位まで上らせた」。

崔氏が今回の張氏失脚の一因とされる「宗派行為(派閥結成)」を行う可能性が低い点を買った故金総書記が、金正恩氏への後継過程を構築するにあたり核心的な役割を担わせたというのだ。

一方で今後の権力構造について、前出のキム氏はこう展望する。
「張成沢は失脚したが、崔龍海は彼の身代わりにはなれない。そのうち同じように失脚する可能性もある。今後は金正恩の実妹の金ヨジョン氏が、政権核心人物の動向を把握し、金正恩に報告するのでは。北朝鮮では老人を『ロバのひづめ(取るに足らない物)』と表現することもある。若い人物で固めていく可能性がある」。
.【本紙特約=「デイリーNK」キム・ヨンフン、オ・セヒョク記者】

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