8日、首都平壌で行われた朝鮮労働党中央委員会政治局拡大会議。この会議で張成沢(チャン・ソンテク)国防委副委員長が逮捕されたと朝鮮中央通信は報じた。(朝鮮中央通信ウェブサイトをキャプチャ)
8日、首都平壌で行われた朝鮮労働党中央委員会政治局拡大会議。この会議で張成沢(チャン・ソンテク)国防委副委員長が逮捕されたと朝鮮中央通信は報じた。(朝鮮中央通信ウェブサイトをキャプチャ)

◇内部住民が証言 張氏の痕跡根こそぎの意図か

(ペク・チャンリョン)
北朝鮮では朝鮮中央テレビが9日、張成沢(チャン・ソンテク)国防委副委員長の逮捕を大々的に報じことを皮切りに、朝鮮労働党機関紙・労働新聞で張氏を批判する記事が連日掲載されるなど、「張氏は悪」とのキャンペーンが熱を帯びている。

その裏で、北朝鮮当局が全住民に対し、張成沢氏との「記念写真」および「反映文」と呼ばれる自己批判内容をまとめた文書の提出を命じたことが、北朝鮮内部への取材で分かった。

北朝鮮の北部都市で行政機関幹部を務める取材協力者は、9日、アジアプレスとの通話で
「今回の(粛清)事件と関連して、張成沢と記念撮影を行った際の写真を、当局がすべて回収しています。住民たちに写真を持ってくるように指示しています」と明かした。

張成沢氏は経済視察や金正恩氏の「現地指導」に随行する形で地方を頻繁に訪れていたため、地方の幹部たちと撮影した写真は相当数にのぼると見られる。
また、「反映文」の提出に関して、取材協力者はこう説明する。
「現在、全ての住民に対し、張成沢氏についての『反映文』を12月末までに無条件提出せよと当局が命じています。人民班(住民組織)をはじめ、工場・企業所などでこうした内容が伝えられています」。

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