R:小さな子どもを持つお父さん、お母さんに、まずこれだけはして欲しいということがありましたら、アドバイスを頂けますか。
小出:福島の事故というのは残念ながら起きてしまいました。それを防げなかった責任というのは様々な方々に様々 な重さであると思います。原子力の旗を振ってきた人たちは重たい責任があると思いますし、私にしても原子力の場にいる人間としてそれなりの責任があると思 います。日本で生きてきた大人の人というのはこれまで原子力をここまで許してしまった責任が何がしかあると思います。ただ、子どもには原子力を選んだ責任 がないわけです。にもかかわらず、被曝に関しては危険を一手に引き受けてしまう生き物ですので、何としても彼らの被曝を少なくすることが必要だと私は思い ます。それが、日本で今、生きている大人の責任だと考えます。
R:そのために出来ることは何でしょうか。
小出:日本でできることは山ほどありますけれども、本当に一番しなければいけないことは、子どもを汚染地帯から避難さ せることだと思います。それが生活上困難であるならば、一週間でも、一月(ひとつき)でもいい、短い単位でいいから、子どもを汚染地帯から遠ざけるという ようなことをやって頂きたいと思います。
R:食べ物についてはどうしたらいいでしょうか。
小出:子供たちが食べるもの、家庭で食べるものもそうですし、特に、私は学校給食というものに関して、もし可能 であるならば、できる限りきちっと検査をして、子供たちには汚染の少ない食べ物を回すという体制を作るべきだと思います。それを大人の責任として皆さんに 考えて頂いて、行政に働きかけるなど工夫を凝らしてやって頂きたいと思います。
次の世代を担う子どもたちの命を守ることは、大人の使命であり、行政にとっての責務でもあるはずだが、現状はどうか。指定避難区域に住むわずかな人々を除 けば、子どもの疎開も避難も各家庭の自主的な判断に任され、経済的な支援もないに等しい。親の仕事の都合や経済的な理由で自主避難すらできず、線量の高い 地域で生活している子どももいる。
大人たちひとりひとりが自らの責任を自覚し、何か自分にも出来ることはないかと考え、小さな一歩を踏み出さなければならない。