北朝鮮の住民は新年早々、今年の農作業に向けた「堆肥」の生産・納付ノルマ達成に追われている。また、今日8日は金正恩第1書記の誕生日であるが、休日ではなく、子どもたちにお菓子が配られる予定だという。6日、北朝鮮内部の取材協力者との通話内容をまとめた。(ペク・チャンリョン)
◇共同トイレを夜通し警備
記者:お正月はゆっくりと過ごせましたか?
取材協力者(以下、協力者):はい。そちらはどうでしたか?
記者:こちらもつつがなく過ごしました。そちら(北朝鮮)では生活が年々大変になっていると聞きますが、大丈夫ですか?
協力者:それでも名節(記念日)は白米を食べる特別な日ですから。
記者:お正月は何日休みましたか?
協力者:3日間です。4日からは「堆肥戦闘」が始まりましたが、笑うに笑えない状況です。世帯あたり毎日30キロの堆肥を、近くの農場に納めなければならないのですが、堆肥(の材料)が足りないので、他の人民班(住民組織)に盗まれないよう、夜毎、(住民が)人民班の共同便所を守っているんです。
(編注:堆肥とは、人糞や獣糞と灰を混ぜたもの。貴重な肥料として使われる。人民班は通常20~40戸で構成される。平屋の住宅街では、人民班ごとに共同便所が一つずつ設置されている)
記者:まったく大変ですね。
協力者:農場では、人糞で作った堆肥の場合、犬の糞などで作った同量の別の堆肥よりも多くノルマに反映してくれるんです。なので皆、人糞を集めようとするのですが、トイレと糞をめぐってケンカまで起きる始末で、あちこちで大騒ぎです。
記者:(笑い)他人のトイレに行って糞を盗んでくるわけですね?
協力者:そうですよ。ケンカも激しいんです。トイレには他人を近づけもしませんよ。
◇8日の金正恩氏誕生日は「平日」
記者:1月8日は金正恩氏の誕生日ですが、休みですか?
協力者:いいえ。国家の祝日ではありません。ただ、幼稚園と小学校では、2月16日(故金正日総書記の誕生日)や4月15日(故金日成主席の誕生日)の時のように、お菓子を配るそうです。
記者:今年のカレンダーには8日は祝日と赤く表記されていませんか。
協力者:はい。表記はありませんし、名節としても過ごす予定はありません。今日(6日)の時点でも特別な記念行事を行うといった話は聞いていませんね。次のページ:住民の動員がもたらす弊害...