
店員「ビール?販売していませんよ」
隣の酒類売場へ移動する。値札に「大同江(テドンガン)ビール 140」「平壌ビール 75」などとある。販売員に尋ねてみる。
ク:大同江ビールは売ってるんですか?
販売員:販売しているものはありません。
ク:それじゃ、何を売ってくれるのですか?
販売員:さあ。そのうち販売するでしょう。
ク:今は販売していないということですか?
販売員:はい。
ジャンマダンでは大同江ビール一本が普通1500ウォンほどする。1400ウォンならともかく、140ウォンでは売ることはできないだろう。売れば売るほど赤字になるはずだ。
菓子売場に回ると、男の子が母親らしき女性に買ってとねだっている様子。「菓子 2950」「果物キャンディ8200」「菓子1kg 5750」「カンジョン(朝鮮のおこし) 8200」などとある。菓子は、皆国産だが明らかに国定価格ではなく闇価格で販売していた。

(つづく)
※ 取材時のウォンの実勢レートは、100円が約3800ウォン。ちなみに国定の労働者の月給は2~3000ウォン程度である。
※ 当連載は、「シリーズ 北朝鮮の市場経済」 を再構成してアップしております。