R:なぜ、うそというのが分かったのですか。

小出:私はその時の事故調査に加わったのですが、燃料棒が壊れた時に、一時冷却水に大量の放射能が漏れてきたというデータがきちんと残っていました。それはすぐに関西電力もわかるはずですが、彼らは定期検査ですぐに取り出し、隠してしまったのです。

R:そういうことはほかの原発でも起こっている可能性が高いのですか。

小出:もちろん、東京電力が言っているピンホールというのは当時から山ほど起きていました。本当はピンホールではなくて、もっと大きな破損というのもあったかもしれないと思います。

R:今、福島第一原発4号機からの燃料棒の取り出し作業が注目を集めています。いずれは1号機、2号機、3号機でもこの作業が必要になってきますが、取り出した燃料棒はどうするのでしょうか。中間貯蔵施設に入れるということですか。

小出:それぞれの原子力発電所には、それぞれ使用済み燃料プールというものが元々あったのです。しかし、次々と使用済の燃料が増えてきてしまいまして、すでにほとんどの原子力発電所の敷地の中のプールは満たんなのです。

そして何を初めにやったかというと、青森県六ケ所村に再処理工場というのをつくりまして、そこに3千トン分の使用済燃料棒が入るプールを作りました。そこに次々と原子力発電所から使用済みの燃料を移動させました。

本来であれば、再処理工場が稼動し、少しずつ使用済み燃料がプールからなくなっていくわけで、そこに次々とまた移そうとしていたのですが、再処理工場は全く動きませんので、もう六ヶ所の再処理工場の使用済み燃料プールも一杯になってしまった。

R:また他に入れ場所を作らなければなりませんね。

小出:はい。今度は中間貯蔵施設というものを青森県のむつ市に作りました。ただし、むつ市の中間貯蔵施設に入れ られるのは、東京電力と日本原子力発電株式会社の使用済み燃料だけです。ただ、5千トン分はありますので、東京電力と日本原子力発電はこれからしばらくの 間は、その中間貯蔵施設を使うことでなんとかしのげるだろうと思います。

R:他の電力会社はどうすればいいのですか。

小出:他の電力会社は今、どうにもならなくなっていますので、新たにまた別のところに中間貯蔵施設を作らなければならなくなるだろうと思います。

 

「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ

 

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