原爆原料のプルトニウムを取り出すのが六ケ所村の再処理工場の目的
青森県六ヶ所村にある核燃料再処理工場の安全審査を申請するなど、安倍政権は原発関連施設の再稼働に向けた動きを加速させている。原発だけでなく再処理工場までも再稼働させようとする政府の意図を、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム)
ラジオフォーラム(以下R):1月7日に日本原燃などが、青森県六ケ所村の核燃料再処理工場など4施設の安全審査を原子力規制委員会に申請したと発表しました。つまり、これらの施設の再稼働を目指しているということですね。
小出:もちろん、そうです。
R:この六ヶ所村の再処理工場というのはどういう施設ですか。
小出:日本では、政府、マスコミがこぞって原子力は平和利用で戦争とは関係ないという宣伝をずっと流し続けてき ました。しかし、もともと原子力というものは核と同じものです。六ケ所村の再処理工場は、長崎原爆の材料だったプルトニウムを取り出すこと、ただそのこと だけを唯一の目的とする工場なのです。
R:核兵器を持ちたいからそうした工場をつくったのですか。
小出:そうです。日本の国はこの工場を何としてでも自前で動かしたいと思ってきました。その願いを決して捨てずにこれからもやるという宣言をしたわけです。
R:しかし、核燃料サイクルは破綻していると言われていますが。
小出:はい。経済的にいえばあまりに馬鹿げているということが分かっているわけですし、技術的にも大きな壁がたくさんあります。
当初の計画では1997年に稼働する予定だったのに、もう20何回もその計画は延期されています。という、話にならないほどのでたらめな施設なのですが、 日本の国というのは核兵器をつくるということを重要な目標にしていますので、どうしてもこれを諦めることができないのです。
R:一般の原発と比べて、この再処理工場はものすごい量の放射能を出すそうですね。
小出:例えば、1つの原子力発電所で核分裂するウランは、1年間に約1トンしかありません。その結果、使用済み 燃料として取り出されるのは1年間に約30トンです。一方、青森県六ケ所村の再処理工場では、1年間に800トンもの使用済み燃料をドロドロに溶解させて その中からプルトニウムを取り出します。つまり、膨大な放射性物質をわざわざ開封し、液体にして取り扱うという極めて危険な作業を行い、原子力発電所が1 年間で放出する放射能を1日ごとに放出してしまうという危険な工場です。何としても止めたいと私は思います。