
◇輸送や農作業に不可欠 牛肉の味を知らない庶民たち
(ペク・チャンリョン)
北朝鮮ではどこに行っても牛馬車(牛車)を見ることができる。経済沈滞が続くなか、牛馬車は大切な運搬手段の一つとして、確固とした位置を占めているからだ。地方ではもちろん、「革命の首都」平壌の郊外でもその姿は珍しくない。

牛車は個人で所有することが許されない。全て全国の市、郡にある「牛馬車事業所」に所属している。北朝鮮で牛は荷物の輸送だけでなく、農作業でも重 要な役割を果たす。燃料不足の協同農場ではトラクターの代わりに牛が大活躍だ。このため、牛は国有財産なので、勝手に個人が処分できない。
とは言っても、牛が特別によい「待遇」を与えられているという訳ではない。人間にも栄養失調にあえぐ庶民が多い中、牛に食べさせる飼料が別途あるはずがない。
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