
手押し車に山と積まれた練炭を買うのは、貧しい庶民ではない。貧しい人たちは直接練炭を作るからだ。しかし、練炭作りは非常に手間がかかるため、ある程度の経済水準にある人は、こうした「業者」から購入するのである。

「何をしているのか」という撮影者の質問に、この女性は「家に焚きものが無いため、山で雑草を採ってきたところ」と答えた。さらに「山といっても野 原のようなもの。木が一本も生えていない」と言葉を続けるのだった。雑草すら「山林保護員」が守っており、持っていけないように取り締まっているのだとい う。
筆者が北朝鮮に住んでいた頃もそうだった。人々の居住地域の周辺では、木はもちろん、背の高い草を見かけることは無かった。みな、刈り取られて焚き もの燃料に姿を変えてしまった。そのため、住民ははるか遠くの山まで焚きものを得るために出かけることになる。だが実際は、山にはもはや何も残っていない のである。
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