◇「私たちは尻尾のない牛」と運び屋業に精出す庶民
北朝鮮でリヤカーは、庶民の運搬道具として重宝されている。一度に多くの水や焚きものを運べるため、家庭生活においてはもちろんのこと、他人の荷物 を運び運賃を稼ぐ生計の手段としても活用される。北朝鮮内部で秘密裏に撮影された写真を元に、庶民の生活事情に迫るシリーズ。今回はリュック、自転車と並 び、北朝鮮で商売する際に欠かせないリヤカーを紹介する。(ペク・チャンリョン)
写真1の女性のような「運び屋」が好んで使うリヤカーには、2トントラックなどに使われるサイズの頑丈なゴムタイヤが装着されている。リヤカーは用途に よって様々なバリエーションがある。自転車のタイヤを利用したものや、道端で屋台として使われる木製の小さなものもある。ほとんどのリヤカーは手作りだ。
写真2では、夫婦と見られるこの「運び屋」は、リヤカー一杯の石炭を運んでいる。線路を横切る150メートルほどの距離を運んで稼ぐのは6000ウォン (当時のレートで約80円)。アパートのような高層の建物の場合は家まで運ぶサービスもあると、撮影者に語った。運び賃はバケツ一杯500ウォン(約7 円)とのことだ。リヤカーの車体は金属性の強固な作りだ。
小さなサイズのリヤカーでもたくさんの荷物を運ぶことができる。「運び屋」たちは、自身を「尻尾のない牛」と呼ぶが、彼らの運ぶ荷の量を見れば、それもうなずける話だ。