◇ 裁判覚悟。法廷で経営委員長尋問したい
「NHK側が提訴してくることは十分覚悟している。むしろ、裁判になって公の場で、視聴者側の主張を展開したい。それに対してNHKの側がどのような反論をするのか聴きたいというのが本音だ。
放送法は、NHKが客観的に公正、公平、中立に報道することにより国民の信頼を得て、初めて国民が受信料を払う関係に立つ法的スキームになっている。だから既に起きているようなNHKが国民の信頼を喪失した時には、この根本関係が崩壊する。
NHKの放送内容が放送法に定める放送がなされないか、またなされない危険性がある場合は、受信契約者はNHKに対して放送法に従った放送をなすまで受信料を一時停止又は保留する権利を有ると考えられるので、その主張を公開の法廷で言いたい。
そしてなぜ、このような放送法をおよそ理解できていない会長を選んだのか、会長を選んだ経営委員長を法廷で尋問したい。また会長の見解なども法廷で 尋問したい。私たちはNHKに一日も早くまっとうな公共放送に戻ってもらいたい。そのためには、籾井会長の辞任は不可欠だ。当然、会長が辞任すれば、受信 料の支払いは再開する」
◇ 籾井問題が経営揺さぶる可能性
一連の「籾井騒動」で、受信料の支払停止が顕在化するのは今回が初めてとなる。阪口弁護士によると、賛同者の輪は関西から首都圏に広がっているという。籾井会長問題はNHKの経営の根幹を揺さぶる事態に発展する可能性が出てきた。
匿名を条件に取材に応じたNHKのディレクターは次のように話した。
「NHKの中で籾井さんを支えているのは政財界にべったりの政治部と経済部の記者くらいで、圧倒的に多くの職員は『早く辞めてくれ』というのが本音だ。た だ、出身母体の政治部をバックに権勢を欲しいままにした海老沢勝二元会長も受信料の不払い運動を機に辞任に追い込まれており、もし受信料の不払いが起これ ば、一挙に会長を変えようという動きになるだろう」
籾井会長は、騒動の発端となった1月25日に、NHKの社内誌のインタビューに応じ、次の様に話している。
「みなさんにお願いしたいのです。コンプライアンスという言葉をよく聞かれるでしょ。では、本当にコンプライアンスを意識しながら、業務に取り組ん でいるのか、言葉で流しているところがあるのではないでしょうか。コンプライアンスとは、不正を働かない、そういうことばかりではないんですよ。放送法を 守らない、これもコンプライアンス違反になるのです。放送法はれっきとした法律ですから、守らなきゃいけない義務が我々にはあるということなんです」
視聴者による受信料支払い停止という「異議申し立て」が始まったことは、NHK内部でも深刻に受け止められて籾井会長の去就に影響する可能性がある。