◇核のゴミの行き着く先
小出:国などは、中間貯蔵施設というものをどこかに押しつけて何とかしたいと言っていますが、どこの自治体もそ んなものを押し付けられるのはまっぴらごめんなわけです。国がいくら「中間」と言っても、押しつけられてしまえば、そこが「最終」になってしまいますの で、なかなか場所を見つけることが難しいというのがあります。
R:電力の消費量に応じて負担するべきだという人もいますが。
小出:はい。いわゆる使用済み核燃料を再処理した高レベル放射性廃物の最終的な処分場に関してそうすべきだと おっしゃっている人がいて、私もそれがいいと思います。ですから、東京の電力消費量がどこよりも莫大なわけですから、東京で放射能のゴミをそれなりに引き 受けるというぐらいのことをやるべきだと思います。
R:今後そういう方向に進むでしょうか。
小出:今国がやろうとしていることは、そういうこととはまったく違います。例えば、最終処分場というのは、深い縦穴を掘って、その底に横穴を掘ってそこに埋めるというものですが、横穴の面積は約10平方キロメートルだということです。
R:穴の底の面積がそんなに広いのですか。
小出:はい。地下深いところにつくる処分場の面積です。つまり、3キロ×3キロ、あるいは3キロ×4キロという 広さの場所を処分場にするといっているのですね。そして、地上の同じ広さを国有化するとも言っているのです。しかし、そんなこと都会で出来る道理がないの です。つまり、国としては初めから過疎地に押し付けるということを基本方針にしているわけです。電力の消費量に応じて負担を引き受けるという考えは、はじ めからもう論外だとして彼らは進めています。
R:それだけの立地を確保したら、どれくらいの使用済み燃料を入れられるのですか。
小出:今、日本としてはガラス固化をするといっているわけです。2万トンを超えるような使用済み燃料をガラス固 化にしてとにかくそれを全部そこに入れるというような案になっています。でも、現在のこの国にはガラス固化体を作る技術はありません。国がやろうとしてい る計画自身が絵に描いた餅のようになっていまして、使用済み燃料を再処理し、ガラス固化体を作って処分するという今までどおりの方策は成り立ちません。
除染技術の開発にも除染作業にも多額の税金が投入されている。しかし、目に見える効果はあがっておらず、そうしている間にも、そこに住む人たちは被 曝を続けている。今、一番求められるのは、そこに住む人、特に子どもの被曝を避けることであって、進まない除染に重点を置いて金を使うことではないのでは ないか。
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