風に吹かれた女性の髪が青空になびく。いつも空がどんより曇っている北京では珍しい光景だ。
中国は、社会主義国家らしく5月1日のメーデーを祝い、連休にもなる。嘘のような青空が広がったのは、休みで車や工場の排気が減ったことに加え、春らしい強い風が吹いたためだろう。大気中の汚染物質がどこかへ吹き飛ばされてしまったのだ。
髪を乱す風をものともせず、人々はお洒落をして青空の下へ繰り出した。それもそのはず、北京が強風の恵みとも言えるこんな空を享受できるのは、実は ほんのわずかな間だけ。もう少しすれば、西から吹く風にのって内モンゴル自治区辺りからやって来る黄砂が北京を襲う。だから北京の人たちにとっては青空の 下で強い風に曝されるのも、ちょっと嬉しい時間であったりもするのだ。
【宮崎紀秀】