◇張の「公開的処刑」は法定の処罰 関連者処罰は闇の中
昨年12月に粛正された張成沢氏は、まず朝鮮労働党政治局拡大会議で除名された。理由は反党反革命行為、党の唯一領導体系違反であった。これは、党 における処分である。続いて12日に開かれた国家安全保衛部特別軍事法廷で、張氏には死刑判決が下され即時処刑された。「国家転覆陰謀行為が共和国刑法第 60条に当たる」と発表された。つまり法律に基づく処罰だったのである。
なぜ、張氏は超法規に闇に葬られなかったのか?彼は金正恩氏の義叔父であり最大の実力者であった。国内外の反響を考えたとき、粛清を正当化するため には「闇から闇に葬る」式ではなく、法に基づく処罰とする必要があると判断したためだと思われる。また、最大実力者の張氏を「公開的に処刑」することに よって、「金正恩氏による唯一領導体系」という新しい掟に従わない者は容赦しない、という見せしめの目的もあったのだろう。
張氏が消えた後、張派とみなされた人たちへの大量粛清が断行された。教化所、「管理所」に送られたり、都市から僻地に追放されたりする人があとを絶 たない、と北朝鮮内部の取材パートナーたちは繰り返し伝えてきている。「法定政治犯」の他に、どれほどの人たちが超法規の「掟破りに対する政治犯」として 闇に葬られたのか、まったく不明のままである。
※平安南道价川(ケチョン)市にある「14号管理所」から脱出して韓国入りした申東赫(シン・ドンヒョク)さんは、いくつかの書籍とドキュメンタリー映画「北朝鮮強制収容所に生まれて」に中で、「管理所」の実態を赤裸々に語っているので是非ご覧いただきたい。