◇セメント横流しに手抜きで強度不足
(本紙特約=「デイリーNK」イ・サンヨン記者)
北朝鮮の平壌で13日に起きたとされる高層アパート崩壊事故は、金正恩政権の住宅建設部門における手抜きが原因であり、他の高層アパートも崩壊の危険性をはらんでいるとの指摘と懸念が出ている。
今回崩壊した平壌市平川(ピョンチョン)区域のアパートは、金正日氏の指示で計画がスタート、金正恩氏の主導で建設された「平壌10万戸住宅建設」地域の 一部だ。つまり「金氏一族」による首都建設業績のはずなのであるが、それすらまともに建設できないほど能力が低いことを、今回の事故は図らずも証明してし まった。
脱北者らによると、今回の建設事業に動員された労働力は一般の建設労働者ではなく、人民保安部傘下の人民内務軍所属。専門の建設労働者ではない。北朝鮮で は建設に必要な鉄筋やセメント、資材などが適切に供給されず、仮に供給されたとしても幹部らが資材を横流しするなどの不正腐敗が蔓延しており、北朝鮮社会 の構造的な問題が惨事を引き起こしたと言える。
「平壌10万戸住宅建設事業」は、金正日氏の指示により2002年から実施されてきた「平壌市現代化事業」の一環だ。2012年12月完工を目標に平壌市 の13区域で2009年9月に同時に着手された。しかし北朝鮮政権は2011年から中区域内の万寿台地区(倉田通り)建設を最優先にして、他の建設現場に 動員されていた軍人を倉田通りに集中させ、1年後の2012年に竣工式を開催するという前代未聞の成果(?)を収めた。
高位幹部出身の脱北者はデイリーNKに今回の崩壊事件に関して次のように述べた。
「今回の事故は誰よりも金正恩の責任を追及しなければならない。金正恩が高位幹部に『贈り物政治』をするため、倉田通りの建設だけを急がせるなど、無計画 な事業を行った。他所は無責任にも後回し・手抜きの対象だ。高強度セメントが使用される最高指導者の別荘を除き、北朝鮮の全ての建物はいつ崩壊してもおか しくない」
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