◆心をひとつにし、互いの理解を深めあう社会芸術
ニューヨーク州、イーストハンプトンにあるロングハウスリザーブ彫刻庭園で5月31日、平和への道のりを願いながら作る、高さ10メートル、直径最大1mの巨大な縄の塔、「題名:NAWA Axis for Peace」が完成した。
欧米や日本を中心に活動を続けてきた環境芸術家、八木マリヨさん(66歳、神戸市在住)が地元市民に呼びかけ、日本からの参加者もあわせ、90人が、2週間にわたり共同で制作した。
「縄の塔」は直径最大約1メートル、長さ17メートルの帆布でつくった筒状のもの4本を、参加者全員で一本の巨大な縄に綯(な)い、芝園に屹立させた。
八木さんは、この制作過程を「ナワロジー」と提唱、国や宗教、民族、年齢などの違いを越えて、人びとが協力しながら汗することで、それぞれの心をひ とつにし、お互いの理解を深めあう社会芸術として生み出した。これまでブラジル、ドイツなど世界各地で制作されてきたが、今回、ニューヨークのロングハウ スリザーブ財団の協力で実現した。
「今も各地で紛争がおき、子どもたちをはじめ、多くの命が失われている。私は、人の手で撚(す)りあわせてできる「縄」を「汝我(なわ)」=『あなたとわたし』と、ひも解いた。『あなたとわたし』が共に制作することで、お互いを分かちあえ、きずなを結べたら」
「NAWA Axis for Peace」には、そうした願いが込められていると八木さんは話す。
参加者のひとり、マンハッタン在住のアニーさん(28歳)は、「参加したことで大きな刺激を受けた。みんなが持つエネルギーを感じながら、楽しみながら縄の塔をつくることができた」
縄の塔、「NAWA Axis for Peace」は、ロングハウスリザーブ彫刻庭園で今後3年間、毎年4月から10月のあいだ一般公開される予定だ。
【アジアプレス・ネットワーク編集部】