ショッピング街の地面から吹き上がった噴水に歓声が上がった。
猛暑が続く北京。暑さに耐えきれなくなった子供たちが、ずぶ濡れになりながら噴水の間を駆け回っていた。陽光に輝く水は、暑さだけではなく人々の心も和ら げたのだろう。日頃はどちらかというと無表情で無愛想な大人たちも、大はしゃぎする邪気の無い子供たちの姿に素直に笑顔を見せていた。
中国の北部、華北地域は慢性的に水が不足している。中でも首都北京の水不足は深刻だ。南部の長江から北京まで水を運ぼうと大それた計画を立て、莫大な費用と労力と時間をかけて大陸を縦断する長大な運河を建設しているほどだ。
そんな北京で、絶えること無く吹き出す水は、豊さと力の象徴でもある。