◆極東最大の米軍基地へ...
山口県岩国市にある米海兵隊岩国航空基地が一般公開される「日米親善デー(フレンドシップデー)」が5月5日、2年ぶりに開催され た。戦闘機や輸送機など24機が展示され、多くの航空ファンがカメラを向けていた。一方で、基地の機能強化に反対する市民団体は正門前でビラを配るなど、 基地負担がもたらす実情を訴えた。(矢野宏 新聞うずみ火)
昨年はアメリカの財政抑制策のため中止され、今年も航空ショーが取りやめになった。
航空機展示の目玉は米軍の最新鋭輸送機オスプレイ。日本で最初に陸揚げされたのが岩国で、当初は運用の関係で「地上展示される可能性はない」と発表されていたが、2日に新型の対潜哨戒機P8ポセイドンとともに地上展示予定リストに追加されたという。
オスプレイが一般公開されるのは国内では宮崎に続いて2回目。海上自衛隊からは救難飛行艇US2も展示され、多くの注目を集めていた。
また、海兵隊や海自の家族らが設けた出店ではステーキやピザ、ハンバーガーなどが販売され、長い行列ができていた。
岩国航空基地は米海兵隊が管理する日米共同の基地。1938年4月に旧海軍が飛行場を建設して以来、航空基地として使用されてきた。45年8月の敗 戦とともに米海兵隊が接収。52年、日本の占領解除と同時に在日米軍の基地として現在に至っており、57年以降、海自と共同使用している。
基地にはこの夏、沖縄・普天間基地から空中給油機15機が移転してくる予定で、神奈川・厚木基地から3年後をメドに空母艦載機59機の移転計画が進められている。基地内ではいたる所で大規模な建設工事が進められていた。
岩国基地には現在、海兵隊とその家族らを含めて6000人が駐留している。空母艦載機の岩国基地移転に伴って4000人が新たに移駐される計画が発 表された。さらに海兵隊増強により、その家族を含めた米軍関係者は一挙に1万人ほど増えることになり、沖縄・嘉手納基地に代わって岩国基地が極東最大の米 軍基地となる。
市は新しい町づくりを目指して愛宕山地域開発事業に着手したが、住宅地開発・分譲は計画通りには販売できず、事業は破たんした。84億円の負担を抱 えた市は、開発用地30ヘクタールに米軍住宅270戸を建設して売り払うことを計画。日米親善デーの10日後の15日には、防衛省が米軍基地の造成工事に 着手した。
かつて、岩国基地の騒音を軽減するため、思いやり予算2500億円をつぎ込んで基地の東側を埋め立てて滑走路を沖合へ1キロ移転する計画を進めた。 埋め立て工事が完成する段階になって、厚木基地からの空母艦載機移転の話が出てきた。基地は2倍に拡張され、滑走路は移転ではなく2本体制になり、空母も 接岸できる巨大岸壁まで造られたという。
「基地の埋め立て拡張は拡大固定化につながる」として反対してきた田村順玄市議(69)は「財政630億円の市で、米軍のために903億円がつぎ込 まれて基地が拡張され、機能が強化されている。米軍基地の増強でついてくるのは犯罪。しかも、地位協定で米兵は保護されている」と抗議している。
【矢野宏 新聞うずみ火】