◇日本人妻の子供の調査が必要
1959年に始まった在日朝鮮人の北朝鮮への帰還事業で、9万3000人あまりが北朝鮮に渡ったが、うち7000人弱が日本国籍者だった。その多くは朝鮮人の夫について北朝鮮に渡った日本人妻及びその子供たちだ。
5月29日に発表された日朝合意文では「全ての日本人に関する調査」を実施すると明記された。日本人配偶者(妻)も調査対象である。北朝鮮当局が日朝合意に基づいて、日本人妻の消息調査を始めているのは確実だと思われる。
しかし、帰国事業で北朝鮮に渡った日本人妻は亡くなった人も多い。一方、日本で生まれて北朝鮮に同伴した子供や、北朝鮮に渡ってから生まれた子供 は、はっきりした数字はわからないが相当数が生存しているはずだ。日本あるいは北朝鮮で生まれたこの「二世」たちも、当然日朝合意に基づく調査の対象に含 まれるべきだが、現在まで調査しているという情報はない。
咸鏡北道に住む別の取材協力者は、知人の「二世」の女性に会い、次のように報告してきた。
「彼女の母親の日本人妻は20年以上前に、父親とともに保衛部に連れて行かれてそれきりで、生きているのか死んでいるのかもわからないそうだ。彼女は母の故郷の日本に行きたがっているが、今のところ自分に対する保衛部の調査は何もない、と言っていた」
7月1、2日両日、日朝当局者は北京で、北朝鮮が立ち上げる「特別調査委員会」について協議する。日本妻とその家族の消息確認についても話し合いがされるべきだろう。
※アジアプレスでは中国キャリアの携帯電話を北朝鮮に投入して取材パートナーと連絡を取り合っている。拉致問題、日本人妻
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