◇とにかく水を断て
R:コンクリートではなく、凍土壁で大丈夫なのでしょうか。
小出:凍土壁はできないかもしれないし、できても長持ちはしないので、本当であれば、しっかりとしたコンクリー トの壁を作る以外にないだろうと思います。ただし、コンクリートの壁を作ろうとすると、かなりの時間がかかってしまいます。凍土壁なら簡単にできるという のであれば、やってみる価値はあると私は思っていました。とはいえ、難しいだろうなと危惧していたのですが、やはりそうなってしまいました。
R:現状では黄信号が灯っています。規制委員会の方でも「これ大丈夫なのか」「ダメなんじゃないか」という意見が出ているようですけれども、今後の展開としてどのようなことが予想されますか。
小出:福島の事故というのは、人類が初めて遭遇している事故なのであって、たくさんのアイデアを集めながら一歩一歩やってみるしかないだろうと私は思います。そのために私自身もいくつもの提案をしてきました。
これまでは、熔け落ちてしまった炉心をこれ以上熔かすことはダメだということで、ひたすら水を入れてきたわけです。それが放射能汚染水となってどんどん溢れてくるのは当たり前のことですし、3年間それを続けてきて、今どうにもならないところまで追い込まれているわけです。
私は、まずは水を入れるということを止めるべきだという発言を、すでに1年近く前からしています。水での冷却ではなく、別の冷却方法に早急に切り替えるべきだと思います。
そして、今回の凍土壁の問題とも絡んでいるのですけれども、原子炉建屋の地下、タービン建屋の地下、そしてトレンチという地下のトンネルに溜まっている水をまずは早急に抜き出すべきだと思います。それらは大変難しい作業ですが、並行してやる必要があります。
さらにですが、今、地下水として流れてきている水が放射能汚染水と混ざり合っているのですが、その地下水の大部分は、恐らく敷地に降っている雨だと 思いますので、その雨を遮断する。つまり、敷地全体を舗装するとか、場合によっては、敷地全体に屋根を造るということでもいいと思います。このようにして 雨水の流入を防ぐことは、放射能汚染水の量を減らす上でかなり効果があると思いますし、様々な方策を組み合わせながら、この問題を乗り越えるしかないだろ うと思います。
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