◇労働者の被曝は増え続ける

R:凍土壁を作るにせよ、あるいは鉄とコンクリートでもっと頑丈な遮断壁を作るにせよ、当然これは現場での作業が必要になりますから、作業員の更なる被曝は避けられませんね。

小出:そうなのです。今、福島第一原子力発電所の敷地の中は、放射能の沼のような状態になっていますから、どん な作業をしても被曝をしなければなりません。ですから、「きちんとした作業をしろ」「きちんと対策を取れ」と要求すればするだけ、労働者の被曝が増えてし まいます。その労働者というのは、東京電力の社員ではなくて、下請けや孫請け、そのまた下請けや孫請けというような、本当に社会的な底辺で苦しんでいるよ うな労働者たちであり、そうした人々がまた被曝をさせられてしまうということになるわけです。私としては大変苦しい状態にあります。

R:誰かが犠牲にならないと、この放射能汚染水の問題も前進させられないという、本当にもどかしい、そういう状況にあるということですね。

小出:そうです。
放射能汚染水問題が公表されたのは、2013年夏の参院選の投開票の翌日だった。以来、もう東電任せではいけないとの判断から、国が主導するという形で、 つまり税金を使って対策が取られてきたが、それでもうまくいっていない。東電でも、国でもダメならば、もう世界の英知を集めて対処をするしかないのだろ う。そのためにも、今、福島第一原発で何が起きているのか、もっと情報を公開していかなければならないのではないだろうか。

※小出さんの音声をラジオフォーラムでお聞きになれます。

「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ

 

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