72時間の停戦期限切れを8日に迎えるパレスチナ・ガザ地区。ハマスがロケット弾を発射したという情報もある。1800人を超えたイスラエル軍の攻撃によ る死者は、まだ増えることになるのか。女性や子どもを含む一般住民に多数の犠牲者が出ているガザ現地から、古居みずえの現地報告の第10弾。(アジアプレ ス編集部)
ガザ地区のジャバリア難民キャンプの国連の学校にベイトハヌーンから来た若い姉妹がいた。イスラエル軍の攻撃が始まってからこの国連の学校に避難しているが、廊下の隅に寝泊まりしているために、プライバシーもなく、厳しい生活を強いられている。
姉のナハラさん(29)は心理学を専攻していて、外国からのプロジェクトに参加してきた。私に子どもたちが描いた絵を見せて、子どもたちがどんな様 子か話してくれた。ある3歳の子どもは爆撃が始まるとパニックになり、声を上げながら、学校の教室中を回って母親を探すという。
爆撃が始まると、ナハラさんは子どもたちに絵を描かせて落ち着かせる。そばに母親がいると安心して絵を描く。子どもたちには何でもいいから書かせる。そうすると子どもたちはどういう風にして家を離れたか、続く爆撃の中で何を見たか、描き始めるという。
2009年のイスラエルの侵攻時と比べると、今回の方が自分の家を離れて国連の学校などに避難して暮らす時間が長く、子どもたちに与える精神的影響 は大きいという。2009年の侵攻時にも、子どもたちが当時の状況を絵に描いていた。心理学の専門家によると、絵を描くことで、周囲の人に子どもたちの心 の傷を理解させることができ、子どもたちの心が軽くなることもあるという。
しかし、子どもたちの絵が、戦闘場面から普段の暮らしに変わっていくには、まだ時間がかかりそうだ。
【ガザ地区 古居みずえ】