一時停戦が崩壊し、イスラエル、ハマスが攻撃を再開したパレスチナ・ガザ地区。2000人を超えたイスラエル軍の攻撃による死者は、さらに 増えることが予想される。女性や子どもを含む一般住民に多数の犠牲者が出ているガザ現地から、古居みずえの現地報告。(アジアプレス・ネットワーク編集 部)
◆戦場のなかの日常 8月22日
今回の攻撃で、イスラム教徒が祈るモスクが、ことごとく破壊された。
2009年にも、モスクはターゲットになり、尖塔が壊されたりした。しかし今回ほど徹底して壊されたのを見たのは初めてだ。
今日は停戦崩壊後、初めての金曜日だ。イスラエル軍による空爆が続いていることもあり、祈りはないだろうと思っていた。しかし午後1時前になると、人びとが次々にやって来た。
たとえミサイルが飛んで来ようと、モスクが壊されようと、どんな状況で祈る。それが人びとの精神の支柱だからだ。
インティファーダ(蜂起)が激しかったころ、外出禁止令が出て、誰も外に出ていけないときも、明け方には、モスクから祈りの呼びかけ(アザーン)が流れ、ほっとしたのを思い出す。
今は夜中から明け方まで爆撃が続くときに、このアザーンが流れると、戦場にも日常はあるのだと改めて気づかされる。
イスラムというと「暴虐」、「テロ」、「原理主義」とよくないイメージが先行しているが、世界でキリスト教に次いで、およそ16億人と推定されるほどの多くの人たちが信者であり、本来は崇高な、穏やかで心優しい人たちの宗教だ。
【ガザ地区 古居みずえ】