取材に向かう朱瑞峰さん  (2014年2月26日 江西省南昌市、アイ・アジア)
取材に向かう朱瑞峰さん
 (2014年2月26日 江西省南昌市、アイ・アジア)

●持ち込まれる情報
こうした朱さんの業績は、中国国内でもかなり知られるようになり、彼の下には、愛人問題など、官僚の様々な腐敗・不正の情報が寄せられるという。

今年2月、私は、朱さんが江西省南昌市で、ある案件を取材するのに同行させてもらった。朱さんの標的となったのは、上海鉄道局の元局長だ。元局長は 2011 年40人が死亡した鉄道の追突事故で、局長の職を解任された人物だが、朱さんによれば今でも党籍は残っているという。その元局長が、妻子を持ちながら複数 の女性と愛人関係にあるというのだ。事実とすれば、共産党の紀律違反となる。

「提供された電話番号と身分証だけで愛人が48人いる。確認を取ってみたい。」

朱さんの手元には、元局長が携帯電話に保存していたという女性の写真があった。上半身をさらし、挑発的な視線をレンズの向けるものや、自分の性器を指でいじっている様子を写したものもあった。

朱さんは朝早い飛行機で南昌の空港に到着すると、そのままバスで市内のホテルに向かった。そこで、情報提供者と会った。元局長と極めて近い関係に あった女性 だった。どうやら、元局長の権力を期待して頼みごとをしたのだが、蔑ろにされたため腹いせに元局長の放蕩ぶりを暴こうとしたいようだった女性は、「愛人の 一人だ」と言って写真を示し、こう述べた。

「聞いた話では元局長との間に女の子を生んだそうです。また別の女性は男の子を生んだそうです。西安にも彼との子供を作った人がいると聞いている」

複数の愛人とされる女性たちは、元局長から、経済的な恩恵を得ていたのであろうか?

「当然でしょ。もしいいことが無かったらつき合うはずがない」

インフラの建設を伴う鉄道局の局長となれば、相当なコネや力を持つと考えられる。朱さんは、元局長が不正な資金を得ていた可能性を疑っているよう だったが、元局長が複数の女性を囲うほどの経済力をどのように得ていたかについては、情報提供者の女性も「分からない」と述べるだけであった。

朱さんは、その4日後、この件を「鉄道局の局長が47人の愛人を囲っている」と「人民監督網」で報じた。さらに刺激的な写真と共に「元局長が節度のない放蕩ぶりで多くの女性に子供を産ませている」「愛人リストを暴露」などと続けて報じたのだ。(続く)

もっと多くの写真は、アイ・アジアでご覧になれます。http://www.npo-iasia.org

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