「彼の家にいた時、頼み事をする人が来てベルトを渡していた。3800元(約6万4600円)以上するものだった」
「あなたにどんなことができるの?と聞いたら、『あまり聞くな。自分が情報をちょっと出すと、彼らが得られる利益は8万元(約136万円)や10万元(約170万円)というお金ではない』と言っていた」
王副室長は妻がいることを隠し、孫さんとの結婚を約束。関係を持ち続けた。しかし子供が生まれしばらくすると、態度を一変させ、子供を認知しないばかりか、殺すなどを脅してきたこともあるという。取材当時11か月になっていた幼児は戸籍を得ることができていなかった。
孫さんは、王副室長とのこれまでの関係と、脅迫を受けていることを、省の紀律検査委員会に訴えた。私の取材に対し、紀律検査委員会は「4月に資料を受け取って、現在調査中」と回答したが、処分などはまだ出されていない。
大きな瞳に涙をいっぱいにため、孫さんはこう訴えた。
「私と娘の安全を、将来にわたって保障して欲しい。彼が他の女性にも被害を与えていないか、党と国家のためにも調べて欲しい。あんなに酷い紀律違反をしたにもかかわらず、制裁を受けていないのはなぜなのか教えてほしい」
中国人民大学・危機管理研究センターによる「官僚イメージの危機2012年」と題するレポートには、腐敗を摘発された役人の95パーセントに愛人がいた、との統計が出ている。
地位と権力をほしいままにし、我が物顔にふるまう中国の官僚たち。そのあまりに醜悪な実態が相次いで露呈する中、共産党への信頼はかつてないほど揺らいでいる。
もっと多くの写真は、アイ・アジアでご覧になれます。http://www.npo-iasia.org