イラクの武装組織「イスラム国」による集団殺戮と迫害にさらされているヤズディ教徒。しかし、かれらへの迫害は今に始まったことでは ない。イスラム教から「邪教」とみなされたため、激しく排撃された。オスマン帝国時代にも厳しい迫害を受け、1970年代の旧フセイン政権下では村落破壊 と強制移住を強いられる。政権が危険視したクルド系住民として弾圧され、イスラムからも抑圧される。さらにかれらが追放された土地は無人の土漠地帯。クル ド語を話すヤズディ教徒だが、イスラム教スンニ派が主体のクルド人からも異端の宗教として厳しい目を向けられることも少なくかった。苦難は幾重にものしか かった。そして今また、「イスラム国」によって町を奪われ、多くのヤズディ教徒が故郷を放棄せざるをえない状況に追い込まれている。【報告:玉本英子】
第4回◆苦難の歴史
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