生命を育む宝の海をなぜ米国の軍事基地として差し出すのか。国は沖縄県名護市辺野古への新基地建設に着手、埋め立て工事に向けた海底ボーリング調査を力尽くで進めている。米軍普天間基地の「移設」先とされ揺れ続けた18年。辺野古の海に初めて杭が打ち込まれた。
9月7日に投開票された地元・名護市議会選挙では、新基地建設に反対する候補者が過半数を占め、「ノー」の民意をあらためて突きつけたばかり。県民の大多数が反対する中での強行は何をもたらすのか。3回に渡ってお届けする辺野古ルポの第2回目。(栗原佳子/新聞うずみ火)

辺野古沖。基地建設反対を叫ぶ小型船やカヌーを追い立てる海上保安庁のゴムボート(2014年8月 栗原佳子撮影)
辺野古沖。基地建設反対を叫ぶ小型船やカヌーを追い立てる海上保安庁のゴムボート(2014年8月 栗原佳子撮影)

 

◇過剰警備 まるで戦争

翌8月16日、17日は、辺野古の集落より北、大浦湾沿いの汀間(てぃーま)の漁港から沖に出た。新基地建設に反対する人たちが監視活動のため海に 漕ぎ出す数隻の小型船。その一隻、カメラマンの牧志治さん(64)が船長の「里丸」に乗せてもらう。埋め立て予定海域に近づくと、海上保安庁の黒いゴム ボートが、ターゲットを見つけた獰猛な動物のように、ものすごい勢いで真横に滑り込んできた。

「危ないです。ここは立ち入り制限区域です。安全のため近づかないでください!」

船上にはサングラスの海保職員5、6人。カメラとビデオカメラを手にした海保職員がこちらの行動を無言で執拗に撮影し続けるさまは威圧感がある。それに、不気味だ。

辺野古沖。抗議活動を取り締まる海保の船舶、ゴムボートに加え、ヘリまで低空で飛び回る物 (2014年8月 栗原佳子撮影)
辺野古沖。抗議活動を取り締まる海保の船舶、ゴムボートに加え、ヘリまで低空で飛び回る物 (2014年8月 栗原佳子撮影)

 

沖に出た2日間、キャンプシュワブ内では、ボーリング工事用の台船組み立て作業が行なわれていた。遠目にも見られたくないのだろう。海保のボートは視界を 塞ぐようにひたすら併走してくる。こちらは定員5人の小船だが、振り向けば3、4隻が波しぶきを上げて追尾していることもあった。しかも、小型のヘリまで 頭上を低空で飛び回る物々しさ。映画のワンシーンか、それとも「戦場」か。いくらなんでも異常としかいいようのない過剰警備だ。

15日に別の小型船やカヌー隊の人たちが12人も海保のゴムボートに強引に一時拘束されたばかりだった。羽交い絞めにするなど手荒な扱いで、けが人 も出た。地元メディアにも大きく報じられた直後だからか、2日間のうち、結果的に実力行使の場面には遭遇しなかったが、それはむしろ稀な例だった。その後 も、連日のように海上での力任せの拘束が続いている。抗議活動は非暴力で徹底しているにもかかわらず、だ。
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