名護市中心街で稲嶺進名護市長(左)と並んで演説する翁長雄志氏(右)
名護市中心街で稲嶺進名護市長(左)と並んで演説する翁長雄志氏(右)

◆保守対保革共闘という前例のない県知事選の構図

沖縄では、辺野古への新基地建設に向けた強硬姿勢をとりつづける安倍政権に対する怒りが、11月16日投開票の県知事選に向けて高まっています。

新基地推進の仲井真知事が自民党推薦で三選をめざすのに対し、同じ保守系でも新基地反対を掲げる前那覇市長の翁長雄志〔おながたけし〕氏が、自民党 県連に反旗を翻す那覇市議会の自民党新風会と、社民、共産、社会大衆、生活、県民ネットなど県政野党・会派の支持を得て出馬します。保守対保革共闘という 前例のない構図です。

なお、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏、元参院議員の喜納昌吉氏も出馬を表明しています。

前回の知事選で、普天間飛行場の県外移設を公約にして当選しながら、埋め立てを承認した仲井真知事の行為を、「沖縄振興予算のカネと引き換えに沖縄の心を売った裏切り」と見る県民感情は浸透しており、自民党の独自調査でも仲井真氏苦戦が予想されています。

安倍政権のボーリング調査強行は、知事選の前に、埋め立てに向けた既成事実づくりが進んでいるかのようなイメージを広め、新基地反対の県民をあきらめさせ、翁長新知事が誕生した場合でも、新基地建設は後戻りできないと思わせるのが狙いでしょう。

菅官房長官は9月10日の記者会見で、「知事が承認し、粛々と工事をしており、もう過去の問題だ。〔沖縄県知事選の〕争点にはならない」と述べ、安倍首相も国会審議で同様の見解を表明しています。

新基地建設問題が県知事選の最大の争点であることはまちがいなく、菅官房長官と安倍首相は仲井真氏苦戦を見越して、姑息にも争点をぼかし、予防線を張っているとしかいえません。むろんその根底には、沖縄の民意を無視する安倍政権の独善的な姿勢があります。

一方、翁長氏は稲嶺進名護市長とともに9月3日、キャンプ・シュワブのゲート前を訪れ、抗議活動をする市民たちを激励しました。

同じ日、名護市中心街でも、「私たちは心をひとつに、オール沖縄で、イデオロギーよりはアイデンティティーで団結し、新基地を断念させよう」と保革 共闘の意義、「オール沖縄」の主体性を訴え、「仲井真知事の埋め立て承認は、県民から承認を受けたものではない。今度の知事選で県民の意思が試される」と 演説しました。

翁長氏は9月13日の那覇市での出馬会見やその後の会見などでも、「まずは知事選に勝って、〔仲井真知事による〕承認そのものを私たちの手で取り消 す。そのうえで、承認撤回のあり方をみんなで力を合わせて考えたい」と述べるなど、埋め立て承認の撤回・取り消しも視野に入れた発言をしています。

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