◆米軍と自衛隊の基地共同使用・共同訓練の拡大
米海兵隊と自衛隊の結びつきも強まっています。
2006年の日米両政府の合意にもとづき、08年から陸上自衛隊は米海兵隊基地キャンプ・ハンセンの共同使用を始めました。
市街地を模した都市型戦闘訓練施設での市街地戦闘訓練、実弾射撃場での小銃射撃訓練、爆破訓練、偵察訓練などを重ねています。
また研修という名目で、イラクの戦場帰りの海兵隊から、イラクやアフガニスタンの武装勢力が使うIED(即製爆発装置、路肩爆弾)の探査・撤去の訓練も受けています。
ブルービーチ訓練場では海兵隊との上陸作戦の共同訓練(名目は研修)もしています。
沖縄県外でも、イラクやアフガニスタンの戦場帰りの沖縄駐留海兵隊と陸上自衛隊の上陸作戦・市街地戦闘訓練など共同訓練・演習がくりかえされています。演習時には自衛隊員がオスプレイにも乗り込んだりしています。
海上自衛隊の護衛艦は米海軍とともに迎撃ミサイル発射の共同訓練などをしています。また、航空自衛隊の戦闘機が米空軍の空中給油機から空中給油を受けて、アラスカなどでの演習にも参加しています。
このような米軍と自衛隊の基地共同使用・共同訓練の拡大は、安倍政権による集団的自衛権の行使容認と連動しているのです。
集団的自衛権とは、言い方を変えれば集団的戦争権であり、それが実体なのです。
沖縄で基地監視活動を続ける、市民団体「沖縄県平和委員会」の大久保康裕さんは、米軍と自衛隊の基地共同使用・共同訓練の拡大は、安倍政権による集団的自衛権の行使容認と連動しているとして、こう指摘します。
「安倍政権の新基地建設強行の裏には、集団的自衛権の名のもと地球的規模で派兵し戦争のできる日米同盟に向け、沖縄の基地をはじめとする在日米軍基地と自衛隊基地を日米の軍事訓練・出撃拠点にしようという思惑が見られます」
新基地建設によって沖縄が日米軍事一体化の訓練・出撃拠点とされることに拍車がかかるでしょう。それは沖縄が軍拡の島とされ、永久的に基地の島とされることにつながります。
筆者が取材で辺野古を訪れていた今年2014年9月4日、ボーリング調査中の埋め立て予定海域の沖合に、停泊する米軍強襲揚陸艦の艦影が見えました。軍港機能を併せ持つ新基地ができれば、それが入ってきてオスプレイや装甲車や兵員を乗せることになります。
そして頭上の空では、オスプレイが辺野古地区の上を通って海上に抜けるコースで、爆音を放ちながら低空訓練飛行をしていました。
さらに、米海兵隊基地キャンプ・シュワブからは廃弾処理訓練の爆発音が轟き、黒煙が立ち昇りました。
日々、戦争に備えてうごめく基地のきなくさい空気が、辺野古の海を、陸をおおっているのです。
~つづく~(吉田敏浩)