◆個人被曝線量測定の根源的な誤り
小出:個人の被曝線量の測定器を、例えば、ひと月間ずっと肌身離さず持っていたとしたら、ひと月経った後に「あなたはどれだけ被曝をしました」とい う結果が出てきます。そういう測定に関しては、私のような放射線業務従事者と法律で決められている人間にとっては、もちろんやらなければいけないし、ある 程度、意味があると思います。けれども、一般の人々の場合には、とにかく被曝を少なくするということが何よりも大切なことだと思うので、ひと月間測定した 後に「あなたはどれだけ被曝をしてしまいました」と教えるようなやり方ではダメだと私は思います。
ですから、従来と同じように空間線量というものを測って、「この場所に近づいてしまうと被曝線量が多くなってしまうよ。だから、できる限りそういう場所には行かないように」と言って、予防できるようにすることの方がむしろ私は大切だと思います。
空間線量を測るのと個人線量を測るのは、二者択一ではなくて、本当であれば両方をやらなければいけないという、そういうものなのです。
少し聞いただけでは、より詳細なデータが得られるのでは、と思ってしまうけれど、現実的ではないのが個人線量の測定だ。ガラスバッチを常につけて動かなけ ればならないのは、遊び盛りの子どもには非常に負担が大きい。放射能の影響を受けやすい子どもを守るという立場に立って、測定方法をはじめとする放射線防 護のシステムを構築してもらいたい。
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